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VOICE Vol.9 農興産業株式会社

認定事業者インタビュー VICE

インタビュー企画第9弾です。今回は西都市の農興産業株式会社さんです。宮崎県で最初に優良認定を取得した塩川産業さんとほぼ同時期に認定を取得した企業です。本制度が始まってすぐに優良認定取得に動いた理由など、気になるお話を伺います。

vol.9 農興産業株式会社 代表取締役 阿万清貴
 

やりたい事の為の産廃事業

インタビューをお受け頂いたのは、代表取締役の阿万清貴社長。宮崎県で一番最初に処分業での優良認定を取得されており、その経緯が知りたいということで、先ずは、普段どのような事業を営んでいるのか、お伺いしました。

社員の方と資料を見ながら話しをする阿万清貴社長

「実は、ウチは産廃事業というのは後から始めた事業なんです。私の父が農業資材の卸販売をしていて、私自身、30歳手前までピーマンを育てていました。後に父の会社に3年間勤めたわけなんですが、そんな中、畜産が盛んな宮崎県なのに良質な有機肥料がない事に気がつきました。当然、牛糞や豚糞、鶏糞単体の物は数多くあったんですけどね。これらを混合して、質の高い有機肥料を作ろうとしたのがこの事業の始まりなんです。ご存知の通り、宮崎県は畜産だけでなく様々な作物が生産されています。野菜ジュースを作ればその残渣なども出ますから、こういった物も集めてより良い肥料を作りたかった。これを叶えるために産廃事業が必要だったというわけです。もうかれこれ32〜33年前の話ですね(笑)」

牛糞など、混合していない単体の肥料は特殊肥料ということで、県への届け出があれば販売出来るそうですが、阿万社長の目指す有機混合肥料は普通肥料に当たるため、農水省直轄の厳しい審査もクリアしないといけないとのこと。それでもこの肥料を作りたかったのは、私たちが口にする食材をもっと美味しく安全にという想いがあったのでしょう。農業資材の販売で沢山の農家さんと対話していく中で、これが強い意志となっていったそうです。

「初めはなかなか売れなかったんですけどね。ある農協の組合長さんとお話をしていて、肥料の散布までサービスとしてやってもらえると、高齢の農家さんは非常に助かるという事で、肥料の散布サービスも行うようになりました。これが皆さんに喜んでもらえて、ウチの商品を知って頂くきっかけになりました」

現場に座る男性
 

誰もが得をするサイクル

売り手、買い手、社会にとって『三方良し』を社是としているという阿万社長。土、延いては野菜、それを食べる人の身体にも優しい有機肥料。農家さんも喜ぶ散布サービス。これらが喜ばれることで自分たちにも仕事が生まれる。肥料をパッケージングせずに直接散布することで、ゴミも減らせる。誰もが得をするサイクルを営み続ける農興産業さんが、優良認定を取得、もっと言えば、最速で取得に向けて動いた理由とは何なのでしょうか。

「外部からではなく内部から会社を良くしたいと考え、当時、処分業ではまだあまり多くなかったISOを取得しました。大変でしたが、これが本当に効果的でした。意識が変われば行動が変わるというのは本当ですね(笑)ですから、この優良認定が始まると聞いた時、すぐに取ろうと思ったんです」

従業員の意識が変わることで、様々な仕事を従業員の判断に任せられるようになったそうです。ISOと共に、『優良』のふた文字が従業員に自覚を与えてくれるのかも知れません。対外的な変化というのはあったのでしょうか。

「優良認定を受けていることで、取り引きのある大手の排出業者さんが度々見に来られますね。ただ、弊社の場合、この優良認定に求めたところが社内への効果だったので、対外的な信頼もありますが、内部への効果を感じられたので、取得してよかったと思います」

 

業界全体のイメージ向上

優良認定を受ける事で、社内の意識が明確に変わったことが最大のメリットであるという阿万社長ですが、これから認定を受けようと思ってらっしゃる事業者さんに向けて、背中を押すメッセージをお願いしました。

トラクターと作業員の男性

「20年前は、産廃業というと、どうしても、良いイメージは持たれなかったですよね。先ほど、優良認定を受けて良かった点として社内の意識を上げましたが、やはりこの優良認定もISOも、必然と外からの見る目が変わってきます。産廃業といっても色んな種類があるので、それぞれ事情があるかも知れませんが、せっかくこういう制度が出来たんですから、挑戦する気持ちで取得して欲しいですね。その内『あそこが取った、あそこも取った』というように、お互い切磋琢磨していけば業界全体のイメージ向上にも繋がりますし、発展にもなります。それがやがて自分の会社の為になるんじゃないでしょうか」

処分業において県内最初の優良認定を取得した農興産業さんですが、前例がない中、従業員の方々も書類作りに相当な苦労をされたようです。当時の県の担当者さんも大変熱心に取り組んでくれたそうで、「絶対に取りましょう」という雰囲気の中、取得されたとのこと。大変だったと振り返るも、優良認定制度が始まるや否や、迷わず取得に動いた阿万社長。インタビューなんて苦手ですと仰ってましたが、掲げる『三方良し』の経営理念から全くブレない素晴らしいお話を聞かせていただきました。